「秘密 -THE TOP SECRET- 」のあれこれと日常のもろもろ
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息遣い
2015年06月24日 (水) | 編集 |
予想外に、もう一本、お話いきます。
(絹子の感想はどうした!?状態です)

薪にゃんの続きではありません。
書こうかと思ったんですけど、前回の対みたいなのがいいかなと。

需要はないと思うんですけど、犬を連れて帰っちゃう薪さんのお話です。
雰囲気としては前回の「窓」と同じ傾向の話です。対なんで。
薪さんバージョン。
薪さん視点なので、サービスショットが書けない!何もないです。ヒドイ。
普通になっちゃった。

あと、すみません、犬もね、わからないです。飼ったことないから。(開き直り!)
犬好きの方、おかしかったらすみません。

相変わらず、ごめんなさいです。
覚悟ができた方、以下よろしくお願いします。

**************************

Every breath you take
Every move you make
Every words you say
-I'll be watching you



今、ここで静かな寝息を立てているのは、夢か現(うつつ)か幻か


息遣いも
仕草も
言うこともぜんぶ
 -ちゃんと僕は見ているから




いつもと同じ、人通りの少ないそんな時間だった。


改札を出るとそこにいた。
僕を見ると座ったまま、激しくしっぽを振った。
僕がその横を通り過ぎると、至極当然のように、半歩下がって、ゆっくりついてきた。
知り合いでもない。初めて見る顔だ。だから特に気にしなかった。
そのうちどこかへ行くだろうと。


家につくまで、その存在を忘れるくらい、僕の歩みを乱すことはなかった。
玄関の鍵を開けて、いることに気が付いた。
ドアを開けると扉の内側に、でも玄関には入らずに座った。

僕はこのうちにはもう、他の誰も入ることはない。そう思ってきた。
「ここまでだ。帰れ。」
穏やかに声をかけた。

小首をかしげると、
「クゥ」
といった。

なんだかほっとけなくて、玄関に入れた。
僕らしくない。でも。


僕が荷物を置いて戻ってくると、先ほどと変わらぬ姿勢のまま玄関に座っていた。

「まあいい、入れ。」

僕についてきたので、浴室で足だけ洗ってやる。
「今日だけだからな。明日には帰れ。」
「ワン」
と体に似合わぬ、深夜に合わせた控えめで、でもはっきりとした返事を返した。


「ここで待っていろ。僕はやることがある。」
リビングのラグの上に連れて行くと、静かに座った。
座る姿がまるでビクター犬がデカくなったみたいだ。


僕は風呂に入り、あの犬について考えた。
なぜ、部屋に入れたんだろう。
あまりに自然だったから?似ている気がしたから?
あの瞳には逆らえなくて。
全てを洗い流したくて、きれいな気持ちになりたくて必要以上に全身を洗った。
長風呂になってしまって、眩暈がした。


風呂を出て、とりあえずバスタオルを腰に巻くと、冷蔵庫からミネラルウォータを出した。
そのまま、リビングへ行くと相変わらず同じ姿勢のあいつがなぜか目だけ逸らした。
「ふん、おかしな奴。」
隣のソファに腰掛け、ミネラルウォータを飲んだ。

バスタオルを腰から取り、髪を拭きながら着替えを取りに戻ろうとしたら、
「クィーン」
と吐息のような声をだし、後ろ向きに横になってしまった。
リビングの明かりをダウンライトだけにして静かに部屋を出た。


書斎で残りの仕事を済ませ、戻ってみるとあいつはこちらを、向いた。

「まだ眠ってなかったのか。」
ふっと笑みが口元に浮かぶ。安堵か、喜びか。我ながら苦笑だ。


「おまえは誰なんだ?なぜ僕に付いて来た?―まあいい。」

その真直ぐな黒い瞳。
逸らせない。
見つめ返す。

僕はその薄くやわらかい毛並みの中に頭を沈めたまま、目を閉じた。
抱きしめるとその固いからだが妙に僕の体に馴染んだ。

抱きしめられた気がして、そのまま抱き返した。
身体が宙に浮く。
抱かれたまま揺れる。
ゆっくりと柔らかな床に降ろされる、僕のベッド?


固くしまった筋肉、広い肩幅、しなやかな指先、あいつの匂い、全てに包み込まれる。
ああ、僕の求めていたもの。瞼の間から雫が零れた。
そっと雫に触れる柔らかいもの。ああ、あいつの唇か。
放したくなくて、離れたくなくて背中に回した腕に力が入る。

「薪さん」
耳元で落ち着いた囁き。
そっと目を開けると、黒い瞳。
僕の髪を頬を撫でる、大きな暖かい手。
「あ……お…」
長い指が1本僕の唇に「秘密」というようにあてがわれ、言葉が漏れるのを押し止める。穏やかな微笑み。
だからそっと目を瞑った。このままで。

撫でるような指先がゆっくりと首から、肩へ。
躊躇いのない、止まらない指が、ボタン一つ、一つ。下へ。
唇が僕の顔も耳も首も身体も滑っていく。
身体すべてに熱を感じる。

優しい、熱いときが流れていく。


いつの間にか眠っていた。目を開けると。
そこには静かな寝息。
気づかれないように起き上がる。
これは夢?
でもこの息遣い。
そっとその髪に手を伸ばす。ここにいるのは。
幻でもいい。いまだけ、今だけは、僕の―。




久しぶりによく眠れた気がした。
あいつはリビングのラグの上に横になっていた。
僕が行くと、律儀に座った。

僕が朝食をとって、身支度を整えている間、あいつは玄関前の廊下で座っていた。
僕が近づくとしっぽを振っていた。

そろそろ時間だ。余韻に浸ってはいられない。
想いを断ち切るようにドアを、閉めた。


僕の歩みに合わせて後ろについてくる。
昨日の場所まで来ると、立ち止まった。
座っていた。黒い瞳が僕を真直ぐに見つめる。

「行ってくる。」

僕は、前を向いた。



****************************


読んで下さってありがとうございました。


最初のフレーズ、はい、あれから、あう部分だけ抜粋です。(究極のストーカーソング)
「The Police」 の「Every breath you take(見つめていたい)」
和訳はこのお話に合いそうにしましたので、大目に見てください。

次回は、絹子感想、いけるかなぁ。まったく手つかず。
コメント
この記事へのコメント
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2015/07/05(日) 12:42:38 | | #[ 編集]
Re: 青木犬
貝沼なんかにハマっちゃってて、こんなお話書いちゃって、あは。


> 青木くんがわんこの耳をつけたままだとちょっと情緒が……(笑)
> 自分のとこでも描いといてなんですけど
> (うちはギャグよりだから……)

そうなんですよ、わからないんですけど、イラストだと耳付きしっぽ付きの青木くんが犬っぽくて、かわいいじゃないですか。
でも、お話にすると絶対薪さん拒否しそうで。
薪にゃんだといけるのか?
薪にゃん対青木犬、薪にゃんに叱られ、いじめられる青木犬(でもドMで嬉しい)しか浮かばない。
ギャグはムリですー(|li'エ')x ・・

薪さんの素直な姿、原作でも見たい(鈴木さん・・・)
2015/06/26(金) 14:55:53 | URL | ヤマネ #-[ 編集]
Re: こんにちは
-Sさまへ

こんにちは
はじめまして、ですかね。
コメントありがとうございます。

あの方のお話はPIXIVで読んでいまして、読み逃げです。(評価点はつけさせていただいてますが。)
Twitterも「秘密」用ではないアカウントしか持っていないので、ご挨拶行ってなくて。
お話しいただいた件ですが、確認しました。
おお、すごいですねこれは。大変だ(^^ゞ

1つの質問で1つの記事になりそうです(いつも文が長すぎなんです、すみません)
私はまだ全部の感想を書いてない(どころか、次絹子だよ←止まってるよ状態です)ので、もし、やるとしたら、さらっとですかね。そのあと、個別の難しめの件については感想を書きながら、もしくは第九編が終わってからやりたいなと思います。

絹子(感想、ツッコミ、リアル検証?)の次を目標にしてみます。
お知らせ&ご要望、ありがとうございました。
2015/06/26(金) 12:42:20 | URL | ヤマネ #-[ 編集]
青木犬
こちらも幻想的でいいですね〜!

青木犬が完全なわんこで人間の形に変身するのがいいですね。

青木くんがわんこの耳をつけたままだとちょっと情緒が……(笑)
自分のとこでも描いといてなんですけど
(うちはギャグよりだから……)

わんこには素直な薪さん。
いつも素直でもいいのよ……(笑)
2015/06/26(金) 12:35:09 | URL | ねこじゃらしにゃんたろー #JalddpaA[ 編集]
Re: No title
-Misaさんへ

> 2作目!ありがとうございます

こちらのほうこそ、また読んでくださってありがとうございます。


> だから自然と自分好みの薪さんを頭の中に描くんでしょうか?

ふふ。Misaさんの薪さん、すっごく男っぽくってかっこいいですよね。そんな感じで読んでいただけたら嬉しいですね。
ファンタジーっぽい話ではイメージって大事だと思うんです。
たくさんお話を書かれていて、自分なりのキャラができている方ならいいんでしょうけど、いきなり前回から三次創作しちゃったのでもう、読む方にお任せです。


> 対なので青木犬の筈ですが

青木犬ですけど、犬です。普通に。
青木顔の犬がいたら絶対薪さん連れて帰らない(笑)
でも犬の描写をあまり具体的には書かなかったので、これもどの辺まで青木くんっぽいかは、皆様にお任せです。
↑こればっか、すみません。
なので、青木犬のとった仕草も、薪さんの受け取りもそれぞれ解釈していただければと思います。

> 恋をしてると世界が違って見えるじゃないけど
> 薪さんの頭の中の青木は愛らしいイケメンに違いない(´▽`*)

きっと(≧w≦)
そして青木くんの頭の中はあの「待っている」のかわいい薪さんなんでしょうね。
ありがとうございました。
2015/06/26(金) 12:09:38 | URL | ヤマネ #-[ 編集]
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2015/06/26(金) 06:38:41 | | #[ 編集]
No title
2作目!ありがとうございます

ゆっくりヤマネさんの世界へ入っていくようで心地よいです
イメージを固めないように書いているんですね
なるほど~
だから自然と自分好みの薪さんを頭の中に描くんでしょうか?

対なので青木犬の筈ですが
私の中では青木を想う薪さんが本当は普通の犬なんだけれども青木に重ねて見てしまうってスタンスで読みました(←チョット広げすぎ?)
青木犬が目を逸らしたのは偶然だけど
薪さんがそんな風に感じているからそんな風に見えてしまう
それだけ心に青木が沁みついている~みたいな

恋をしてると世界が違って見えるじゃないけど
薪さんの頭の中の青木は愛らしいイケメンに違いない(´▽`*)
2015/06/26(金) 00:02:58 | URL | Misa #-[ 編集]
Re: ワンコワンコ♪
> 青木犬…もうそんな犬が存在するみたいな気になりますね(笑)秋田犬、土佐犬、青木犬、みたいな(^^;)

もう、あおきけん、で変換されるようになりました、私のPC。青木犬、大型犬の仲間なんですね、やっぱり(笑)

うわー、文章独特ですかぁ。
特に一人称だから、感情を書いているので、一文が短くなっている気がします。
句読点のつけ方には意識しています。あえてずらしているところもあります。
あと、読んでいる人にそれぞれイメージがあると思うので、イメージを固めないように書いています。
ちょっと曖昧にというか細かく書きすぎないように。
最後の薪さんも読む方によって、その時読んでいる原作やそのほかのイメージで「きりっと」「穏やか」「うきうき」とか、どうとでも読めるように。

リアルですか?子供にぶちギレまくってるオバチャン(*゚▽ノ゚*)♪
だって歳はなみたろうさんのところでバラしちゃったし。
たぶん、げっ歯類のボス(←夫談)です。ふふふ。

体のほうはありがとうございます。eriemamaさんのほうこそ大丈夫ですか?
あとでいきます。
ありがとうございました。
2015/06/25(木) 13:36:59 | URL | ヤマネ #-[ 編集]
Re: 青木わんこ!
> 薪にゃんの対は青木わんこ(?)ですね! 

薪にゃん目線とかほかのパターンも考えたんですけど、青木犬(あ、あおきけんって打ったら変換された!)、流行って(ない?)るので、いきました。便乗です。


> ふふふ、サービスショットがないといいつつ、これはある意味サービスショットですね? 薪さん、無意識に何かを期待してそうです♪

やだ、薪さんってば、意識しすぎ(*´艸`*)ァハ♪
のぼせさせたかったんですけど、お湯につかってるだけじゃつまらなかったので。薪さんごめんね。


> お風呂あがりの薪さんから目をそらしたり背中を向けたりするのも青木くんぽくて好きです。

薪さんを警戒させない犬で青木くんで、ってしたら今度は青木くんっぽいところが書けなくて、薪さん、ほんとごめんなさいです。いろいろ脱がせて。
耳としっぽついた青木くんだったら、薪さんこんな素にならないと思うので、完全に犬です。でも青木犬。

ラスト、ホッとしました。
昨日間違って公開保存しちゃったとき、最後の1文を入れるかどうかで迷っていたんです。
結局入れなかったんですけど、よかったかな。
薪さんの表情とか、気持ちとか、その後とか、読んだ方がそれぞれのイメージに繋がれば嬉しいなぁと思います。

創作カテゴリは一時的なもので。一度カテゴリの整理をしたんですけど、感想とかでごっちゃになっちゃって、再度整理をしようと思ってます。今のところ、お話書くかどうかは気分しだいです(*´pq`)クスッ
ありがとうございました。
2015/06/25(木) 13:15:43 | URL | ヤマネ #-[ 編集]
ワンコワンコ♪
青木犬…もうそんな犬が存在するみたいな気になりますね(笑)秋田犬、土佐犬、青木犬、みたいな(^^;)いたら薪にゃんと一緒に飼いたい(*^^*)

なみたろうさんもたきぎさんも仰ってましたがヤマネさんの創作の文章って独特で、クセになります(笑)。前回に続き繰り返し読み返しました。なめらかで流れるみたいに読める…ちょっと詩に近いような?すごく女性的な印象です。でも考察はビックリするほど論理的でつっこみも鋭くて淡々と、かつズバッ斬り込む語り口と言い、こちはら男性的(笑)。…ギャップが面白いです(笑)

リアルなヤマネさんはどんな感じのかたなのか想像つきません(笑)。

体調戻られたのかな?と思っていたんですがまた大変なんですね…くれぐれも無理はなさらず、お大事に。
2015/06/24(水) 21:01:58 | URL | eriemama #-[ 編集]
青木わんこ!
薪にゃんの対は青木わんこ(?)ですね! 

>きれいな気持ちになりたくて必要以上に全身を洗った
ふふふ、サービスショットがないといいつつ、これはある意味サービスショットですね? 薪さん、無意識に何かを期待してそうです♪

お風呂あがりの薪さんから目をそらしたり背中を向けたりするのも青木くんぽくて好きです。

しかも余韻を残すラストがすごいです。
きっと薪さん、仕事中もふとした瞬間にワンコどうしてるか考えたり、帰りの改札では絶対いるか探しますよね。電車を降りた瞬間、薪さんには珍しく改札までダッシュしたりして。


創作カテゴリ作ったんですね。これは、またヤマネさんのお話が読めるってことで、期待していいんですよね? わ~い!
2015/06/24(水) 18:34:58 | URL | たきぎ #-[ 編集]
Re: 見つけた~( ;∀;)
あの、あのーーーー!

明日、あげるつもりだったの。修正終わって下書き保存してるつもりだったのっ。
確認する前に、ちびっこが帰ってきちゃって、うーーー公開しちゃってた。Σ(゚□゚ノ)ノ
コメントいただいて気が付いた。
ま、いっか、もう、はぁはぁ。


> 青木犬ですねーーー(*≧∀≦*)

はい、みなさんの、青木犬、いいなあと。もう影響受けまくり。
やっぱり、三次創作してます。

> 黒ラブラドールかなあ、礼儀正しくご主人様大好きな感じがあーもう、ぴったりです。

犬、なのでね、青木くんをさらに忠犬にさせました。
ご主人様大好きだから、とにかく忠犬!
いろいろ見たいけど、見ちゃいけない、あぅ、な青木犬。

薪さんも、本当は素直になりたい気もあると思うんですけど。素直な薪さん、かわいいだろうなぁ。
でも素直になれない、ならないのもまた魅力。

文章がすきって言っていただけて、ああ、生きててよかったって思いました(大げさな!)
だって、レポート、論文、ビジネス文書、「おうちのひとからひとこと」みたいなのしか、ほとんど書いたことないのに。

体までお気遣いいただきありがとうございます。
ちゃんと水分取ります。脱水になるとひどくなるそうなんで(なのに、もともと飲めないのでしんどいです。この中途半端な季節)そういえば、梅雨入りしてからここ数日、雨、あんまり降ってない気しません?(ローカルネタ)

なみたろうさんも、薪にゃん&青木犬また見せてください。(もちろん色っぽい薪さんも!)
楽しみにしています。
ありがとうございました。
2015/06/24(水) 18:22:19 | URL | ヤマネ #-[ 編集]
見つけた~( ;∀;)
ヤマネさんっイイッ!!
青木犬ですねーーー(*≧∀≦*)
黒ラブラドールかなあ、礼儀正しくご主人様大好きな感じがあーもう、ぴったりです。
お風呂上がりの薪さんから目をそらすところと、その後のヌードでひっくり返るところ(て、意味ですよね?)笑った~( ´∀`)

相手が犬だから?夢だと思っているから?素直に抱かれる薪さんも…ちょっと泣きそうになってしまいました。可愛いよお。

薪にゃん編と青木犬編、どちらも対で素敵でした~。
私、ヤマネさんの文章好きだわ!そう好きです!!なんだろうこの味わいは。余韻の残り具合が短編映えしますよね!!
是非また体調のいい時に。
蒸し暑くてただでさえダルいですからね、お大事にして下さい。
2015/06/24(水) 16:52:28 | URL | なみたろう #-[ 編集]
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