秘密1巻 「2001」感想

やっといきます、第九編感想。貝沼編です。

予定外に、UPできませんでした。すみません。
第九編最初のお話の為、中篇の割にエピソードが盛りだくさんで長くなり、編集に手間取りました。

お話としてこれも(ツッコミどころはあるものの)まとまっていて好きです。
が、実はこの巻のみの、違和感も多いお話です。
が、そのあたりは別にして、事件と全体的な感想、いきたいと思います。
鈴木さんと薪さんに関する部分については、端折っています。
次回に別記事でUPします。(だって長いから)

既に1巻目(及び全巻)読んでいることを前提に、感想を書いています。
万が一、未読で検索などでここへ飛んできてしまった方、そういう前提です。ご理解願います。


≪MRI映像がみせるテーマ≫
  幻 覚

長いです。ごめんなさい。いいよ、って方のみどうぞ。
**************************

皇室の結婚式で日本中が祝賀ムードの中、少年の自殺事件が相次ぐ。
その関連性を調査するため、
「科学警察研究所 法医第九研究室」通称「第九」にてMRI捜査が行われることが決定する。


このお話にはいくつかポイント(エピソード)があるので、まずまとめました。

1) 第九編、最初の話
① MRI映像や捜査方法についての説明を事件と共に進めていく
② 薪さんと青木くんの容姿の特徴
③ 薪さんと青木くんの出会い~のエピソード
2) 少年連続自殺事件と貝沼の連続少年殺害事件の関連
3) 薪さんと貝沼の関係
4) 薪さんの鈴木さんに対する心の変化
5) MRI映像を見る捜査の精神的負担(今回は幻覚=恐怖の追体験)

以上に注目して感想いきます。
(情緒のない書き方だな、これは)


第九編、最初の話なので、MRI捜査についてや、薪さんと青木くんの特徴などがほかの回と違って描かれています。
逆に第九メンバーは岡部さんしか名前が出てきません。紹介ないの?


**************************

一人の少年の飛び降り現場から話は始まる。
「第九」での捜査決定の報道のあと、記者会見の場面を前に簡単に「MRI捜査」について薪さんのお口から説明される。(読者に対しても)
凄惨な事件を扱う第九のイメージとかけ離れた室長の薪さんの若く麗しいビジュアルが強調されている。

次いで新人の青木くんが第九に配属される。
寝ぼけた薪さんに貝沼に間違われ、しがみつかれるという初対面。
ここでも薪さんの少年のような(すやすやと本を抱えて眠る姿)容姿と、貝沼の脳をみた唯一の生き残りであることのギャップ、防弾チョッキを着ている異様さが青木くんの目線から語られる。
「よく寝る」件についてはたぶん、別途気になるツッコミでそのうちいきます。

青木くん配属後、すぐに投身自殺した少年のMRI捜査に入るものの、青木くんは、薪さんのことが気になってしょうがない。
なぜ挨拶早々、第九には合わない、異動願いを出しておけ、などとイラついたような目で見られるのか。
この青木くんのモノローグ、数頁に渡って繋がっていて、事件そっちのけで薪さんのことを考えちゃってるんですね。

MRIの映像を第九メンバーで見るのとともに、読者にも少年が投身自殺するまでに起こったことをMRIの映像を通して語られる。
MRI映像とは「目に映ったもの」だけでなく「脳で処理したもの(幻覚)」も併せて、本人が見ていたと認識しているものを映し出す。
今回のMRI映像は幻覚があり、本人にとって最も恐ろしい幻覚を見て、それから逃れるために自殺を選んでいることが捜査でわかる。
捜査する側にとってその画像(本人が自殺を選ぶほどの幻覚)を見続けることはかなりキツイものであり、青木くんに早くやめろとの勢いで詰め寄る薪さん。

あまりの薪さんの態度に岡部さんが青木くんにつらく当たるのは、薪さんが射殺してしまった(正当防衛とされている)鈴木さんに似ているからだと教える。
「鈴木さんに似ている」これが青木くんの容姿の最大の特徴で、ずーっと二人とも引きずることになる。
だからといって、青木くんにはどうすることもできないんだけど。こうなると、鈴木さんのことが気になるよね。

ここから先はMRI捜査が続き、映像の異様さ、幻覚映像を見続ける捜査の大変さも知ることになる。
幻覚には理由があり、幻覚の裏にある背景、本心を見出すことが捜査なのだ。
それが「MRI捜査」なのだということを理解する。
とはいえ、他人の幻覚や心理描写を見続けて、慣れるまでにはどれほどかかるものなのだろうか。

中でも昨夏の鈴木さん射殺の発端となった事件の「貝沼」の脳映像は「異常」であり、鈴木さんが貝沼のデータを破壊したことも知る。
ここまではまだ今回の少年連続自殺と昨夏の貝沼事件はつながらない。
薪さんについての補足説明みたいなもの。

このあと、自殺した少年の共通点が薪さんから説明される。
これはMRI捜査は、MRI映像とともに、そのほかの捜査資料にも基づいて捜査されていることが表されていると同時に捜査初日に薪さんが(映像を皆と見ながらも)共通点を絞り出してくることのできる優秀さを見せている。
薪さんのドヤ顔がいい。
青木くん、薪さんの優秀さ、貝沼事件がありながらも仕事をこなせている強さにますます憧れを募らせていく。

でも青木くんが薪さんに近づくと、薪さんは鈴木さんを思い出す

初めて会ったばかりの部下に、「今度僕を殺すときは頭を狙ってくれ」なんていう。
青木くん、いきなり上司に「今度僕を殺すときは」なんて、一度もあなたのこと殺してません、殺す気ないし、頭を狙えとか無茶いわれちゃっても困ります。
薪さんも鈴木さん似の青木くんのことが気になっていて、それで近づけたくない。

捜査が進み、自殺した少年たちが少年院で一緒にセラピーの名目で貝沼に催眠術を受けていてことが判明する。
自殺した少年のMRI映像の貝沼を見て失神する薪さん。


ここで貝沼が昨夏逮捕された連続少年殺人事件と今回の少年たちの自殺の件が繋がる。
ここから面白くなる。二つの事件が繋がって、薪さんの関わりも苦悩も明らかになり、一気に話は進んでいく。


病室にお見舞いにいく青木くん。
そこで薪さんから、3年前に貝沼が万引きをしたとき施しを与え、見逃したことがあると聞く。
薪さんと出会ったことで貝沼は「急に生きる希望がみえてきた」といい、その後、貝沼は連続少年殺害をはじめたのだ。
これは薪さんの優しさ美しさに惹かれ取りつかれた貝沼による犯行なのだ。
薪さんは昨夏の事件の時から、「自分に見せるためにたくさんの少年を殺害した」ということに気が付いている。それで、万引き時に貝沼を捕まえなかったことを後悔しているのだ。

青木くんは薪さんの強くて脆い面を知って鈴木さんが何を考えていたのかが気になり、機密事項の鈴木さんの脳を一人で見てしまう(具体的には描かれていないけれど)
青木くんは他の第九メンバー(それも新人なのに)みたいに、ただの部下ではいられないんだよね。心理的には新任の上司部下の距離感じゃない。
ただのおせっかい焼きで世間知らずな無謀な人とも言えるけれど、必要以上に踏み込んじゃうのはなぜなんだろう。そういう心理的な関係なんだ、二人はね、最初から。


薪さんが入院中にも、第九では貝沼が行った催眠術について捜査され、皇室の結婚パレードの映像が少年たちを自殺へ導くキーとなっていたことがわかる。
貝沼は同時に沢山の少年が自殺することで事件になり、MRI捜査になり、誰かに見てもらいたかったのではないかと(小池らしき人)が指摘する。おお、さすがにみな鋭いですね。
この第九編最初の話って、岡部さん以外名前が出ないのだけど、あの曽我もちゃんと捜査していて、意外と役立ってるんですよね。ちょっと、キャラの感じがまだそれほど目立たない。
でも、連続自殺事件としては、貝沼による催眠誘導であったことが判明し、捜査は終結モードに入る。だからこそ、小池(でいいよね、アレ)は薪さんと貝沼の関係を知りたいと思うのだろうし、二人の関係と薪さんの自分を責める姿を知ってしまった青木くんは薪さんのせいじゃないと思い、あえてその場では何も言わない。青木くん、薪さん派どころじゃない、もう薪さんを守るモードです。

でも、これで事件が終わりではないところがいい。一見、事件は解決したかに見えるけれど、薪さんは入院している間も手を抜かない。さすが!
貝沼の催眠術を受け、まだ自殺をしていない少年がいることに気付き、調べるのだ。
その少年が海底トンネル工事現場にいて、キーとなる結婚パレードを見ていないが何時観てもおかしくない状況にあると知り、無謀にも無理矢理ヘリで少年を助けに行こうとする。後先考えるより、助けたい気持ちを優先して行動するのって、後の青木くんのイメージだけど、実は薪さん1巻では青木くんみたいなことやってたんだ♪

ところが悪天候でヘリがすぐに飛ばない。離陸待ちの最中に青木くん、パイロットさんと交代して操縦席に。
青木くん、航空機操縦免許持っているから。無謀なことやります。
少年の救出に向かう中で、青木くんは鈴木さんの脳を見たことを告げる。
青木くん自身、貝沼の脳の影響を受け、操縦中に幻覚が見えてしまう。
ヘリを操縦できない状況になり、墜落しそうになる中で、薪さんは必死に操縦し、青木くんも正気を取り戻す。
この必死なときの薪さん、涙が潤んでいてかわいいです!(ごめんなさい、必死なのに)
ホッとした時に、鈴木さんと青木くんがダブって見えて、鈴木さんの最期をまた思い出す。
もうね、薪さん、何やってても鈴木さんのことを思い出しちゃうの。

少年を無事保護し、催眠術を解いたことで、「死んだ人」を救うだけでなく生きている人も救えたような気がした、と青木くんは思うのだけど、実はこの第九編は、薪さんがMRI捜査でしたいことは、「生きた人」も救うことができるということなんじゃないかなって、感じます。救うということは、必ずし物理的な命の危険性から守るということだけじゃなくて、罪を犯した人も含めて、心の拠所とか、心を理解するとかを含めて生きていくことを認める、ということが救うということ、なんじゃないかと思います。

事件終結後、薪さんは自ら、鈴木さんの脳を見に行く。
鈴木さんが死の前に見ていた貝沼の脳には何が映っていたのか。
貝沼は薪さんが自分の死後、脳を見ることを知っていて、見てほしくて、少年たちを殺害していたことを告白して、自殺をする場面だった。
それを薪さんに見せたくなくて、鈴木さんは自分の脳を破壊したかったのだと知って、薪さんはたぶんですけど、鈴木さんへ贖罪の気持ちがより強まり、ここから以後の薪さんと鈴木さんの関係の印象が変わるんだと思う。


ラスト5P、二人の今後の関係性と、青木くんの鈴木さんに対する思い、考えと示している。
初めに岡部さんに薪さんの居所を聞かれ、
青木くんは「なんとなくわかる」=理由はないけれど、想いや考えていることは分かるということは、
心に寄り添える関係になっていくということ
を意味しているのだと思う。

ラストシーン、青木くんが寝ている薪さんに声をかける(青木くんとの初対面の繰り返し)。
今度は、鈴木さんに間違われる青木くん。
薪さんはこの後、ずーっと、青木くんを鈴木さんと間違えたり、思い出したり、青木くんを見ているようで、鈴木さんを見ていたり、その逆だったり。
青木くんは、ずーっと、自分は鈴木さんではない、青木なのだ、代わりには誰もなれないと言い続ける。
でも、鈴木さんの分も愛することを願う。
ラストカットが死んでしまった鈴木さんだけでなく、薪さんも含めた写真で、二人の笑顔が薪さんと鈴木さん二人の幸せの象徴であり、鈴木さんの願いであり、守ることがこれからの青木くんの願い(役目)になっていく、そんなことを暗示しているように感じました。

**************************

事件はうまく二つのエピソードが収束して面白かったです。
第九編、最初の話ということで、MRIとか若干説明的な部分があるものの、うまく事件の流れに乗っていて、説明調にならずに読みやすかったと思います。
また人間関係は、薪さんと青木くん、薪さんと鈴木さん、事件面で薪さんと貝沼の3つに絞られたので、それぞれが濃くなってよかったです。
端折れるエピソードが少なくて、無駄のないお話だと思いますが、その分、感想が長くなってしまったなぁ、いまいち、絞り込めなくて、だらだらとした感想になってしまいました。

読んでくださってありがとうございました。

Comment

Re: 整然としてる!

> すごい理路整然としてる!

(^_^;)
国語の教科書ですから!
長すぎて、鈴木さんのこと別立てになっちゃいました。


> なんていうかこう……つかみはオッケー!みたいな1巻ですよね。

うぉー、さすがにゃんたろーさん、いい表現しますね!
そう、まさにつかみはオッケー!な1巻ですよね。
この1巻だけで、私、どんだけ記事書いてんだか。┐(´~`)┌


> また続き楽しみにしてますー!

ほんとうですか?
次はにゃんたろーさんのところで終わってしまった鈴木さんです。
今日午後いけると思う。
そのあたりまでは、真面目に書いていると思う。
でもその次から、ひどくなっていきそうで。追放されそう。ぐ。

2015/05/29 | ヤマネ[URL] | Edit

整然としてる!

すごい理路整然としてる!

思わず自分の1巻のレビュー見返しちゃった!(笑)
なんと感情的な私のレビュー……

清水先生が最初に1巻の話がするっとできたというだけあって、突っ込みどころはあるもののとてもよく構成されたお話になってるんですよねー。
事件と事件の絡み具合とかキャラクターの立ち位置とか。
なんていうかこう……つかみはオッケー!みたいな1巻ですよね。

また続き楽しみにしてますー!

2015/05/28 | ねこじゃらしにゃんたろー[URL] | Edit

Re: わー♪

> なるほど教科書だ!←昨日今日三回くらい読み返しました…(・・;)アンダーラインがテストに出るのかな(ワーすみませんっ)?

自分でも改めて、参考書か予備校のテキストかって感じしました。。。。
読み返しさせちゃってすみません。
アンダーライン、テストに出ますよ。重要事項ですもん。
最初にあげた、貝沼編のお話のポイントに対する自分なりの考えを書いたのがアンダーラインの部分ですから。
って、そこだけ書けばいいんじゃね?あーうー....


> 1巻のラストはその後のふたりの関係を暗示してたんですね…

いやーどうだか?深読みなので。(*´pq`)

ただ、この貝沼編って、事件以外のエピソードも盛りだくさんなんですよ。
清水先生はこの話を第九編全体のプロローグみたい考えて書いたのかなって考えたら、色々な読み方ができてしまっただけなので。

> 生きている人も救える可能性かぁ…

これは、度々出てくるんですよね。薪さんと青木くんにはとても重要で。この二人はその点で近い感性を持っているのかな。
MRI捜査では犯人逮捕、に必ずしもならないし(犯人が死んでる場合も多いし)、それで事件を解決するだけじゃ話としてつまらない気がするんです。
死者の脳を見て捜査するけど、生者も救うところに話に深みや余韻が残るのかなと、結局はそこが私が「秘密」を事件ものとして読んだときに好きなところなんです。

2015/05/28 | ヤマネ[URL] | Edit

わー♪

私も大概論文とかレポートって言われるんですが上をいく人発見(笑)。なみたろうさんの比喩がツボりました(笑)。なるほど教科書だ!←昨日今日三回くらい読み返しました…(・・;)アンダーラインがテストに出るのかな(ワーすみませんっ)?

1巻のラストはその後のふたりの関係を暗示してたんですね…私はなんだかほんわかして終わってました(^_^;)

私はなんで薪さんが両親の死の真相がわかった後警察を目指しMRI捜査に関わる道を選んだのがな、と思ってたんですが、生きている人も救える可能性かぁ…ヤマネさん、鋭い!それは鈴木さんと目指したMRI捜査の理想なんでしょうね…

2015/05/28 | eriemama[URL] | Edit

Re: す、すいません

> ヤマネさんの考察って、
> 国語の先生みたい!!

きっと、男の先生( ≧∇≦)
ザ・男脳でございます。
前生男、来生も男(夫談)←ひどい!

やー、UPするとき思ったんですよ。
やっぱ、やっちまった感が(;一_一)

感想書いていたら、長くなっちゃって、まとめたらこんな感じに。
すみません、次の「薪さんと鈴木さん」はもっとヒドイかも。
その次の「薪さんと貝沼」は少しはマシかなぁ。
Σ(ノ≧ڡ≦) 笑ってごまかそう。。。

> 私日本語専攻だったもので、すごい!と思って。

おお、かっこええ。そうでしたね。なみたろうさんのほうが専門じゃないですか?
私のは半分、報告書みたいな…
文字で書きそうなところ、あの美しくて、エロ..麗しい薪さんの絵を描かれるのですから、感性が美しいんですよ、なみたろうさんは。羨ましい。

> お願いです
> 「考察力と、説得力。ドアは閉めて行け」
> ってニヤリして下さい!!(°▽°)
> 惚れますから!!←迷惑

↑↑↑↑↑↑やっぱり、男キャラ? ;・(゚ε゚ )ブッ!!
でも、これ薪さんが言ったらカッコイイ! やっぱ惚れる。

2015/05/28 | ヤマネ[URL] | Edit

す、すいません

全然まったく本題とかけ離れてて申し訳ない!!

ヤマネさんの考察って、
国語の先生みたい!!

いや、ほめてるつもりなんです気に障ったらごめんなさい!( ;∀;)すごく、組み立てとかなんか論理的とゆうかーー
私日本語専攻だったもので、すごい!と思って。
代ゼミで講義聞いてるみたいな(笑)
お願いです
「考察力と、説得力。ドアは閉めて行け」
ってニヤリして下さい!!(°▽°)
惚れますから!!←迷惑

2015/05/27 | なみたろう[URL] | Edit

        

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