2016.02.13 (Sat)

フォンダンショコラ

更新が滞っててすみません。
明日はバレンタインデーですね。
唐突にバレンタインデーの?創作を思いついたので書きました。
3巻の感想あげるつもりだったんですけど、先にこちらを。

甘くも痛くもなんともない、淡々としたお話です。

青薪でもないです。ショタ薪さんの思い出(捏造)と少し岡薪。
うん、ごめん。青薪より日常を書きやすい岡薪。



宜しければ、以下どうぞ。



【More】



*************************************




それは熱く、甘く、少しほろ苦く、そして優しかった。



「薪さん、今週末、出勤の予定ありますか。」
「ああ、日曜日の午後、1時間程だが。」
「オレもちょうど当番なんですよ。じゃあ、2時頃所長室に行きますよ。」
「今じゃ駄目なのか。」
「出来れば、日曜のほうがいいですね。」
「日曜は業者が来るんだ。空調の調子が良くなくて。」
「じゃあ、終わる頃に行きますんで。まあ、少しだけ付き合って下さいよ。」
そう言って電話を切った岡部の口調は何処か少し弾んでいた。



「ただいま。」
僕はたぶん、いつも通りだったと思う。特に浮かれる理由もなかったから。

「おかえりなさい、つよし。」
その日の母は、ほのかな花の香りだけじゃない、別の香りが、もう少し甘い香りがした。
手洗い、着替えを済ませ、宿題を始めようとしたとき、
「今日は先におやつにしましょう」
と母が言った。母は、いつも微笑んでいる人だったが、その時も笑顔だったと思う。

「つよし、紅茶を入れましょう。お手伝いお願いね。」

僕はティーポットとカップにお湯を入れると、母に聞いた。
「今日はどれにするの?」

「そうね、アールグレイにしましょう。」
そういって、ミントグリーンのF&Mの缶を僕に差し出した。
僕はティーポットのお湯を捨てると、缶からスプーンで3杯掬い入れ、母が持ってきた小さな薬缶からお湯を注いだ。そして、砂時計を逆さまに置いた。

待っている間に、母に聞いた。
「ねえ、どうして今日は先におやつにするの。」

「今日のおやつは熱いほうがおいしいから。」
あとで思えば、それは僕を気遣ってだったのだと思う。
僕はその頃も小食で、夕食に響かないようにということだったのだろう。

テーブルにカップとお皿に乗った、小さな丸く黒いチョコレートケーキが置かれていた。
僕は、砂時計を見ながらカウントダウンをした。
きっちり3分。
少しずつ、二つのカップに紅茶を注ぐと、爽やかな香りがしてきた。

「いい香りね。ありがとう。」
僕らは一緒に「いただきます。」と言った。

「あ、中が熱いから気をつけて食べてね。」

僕は少しずつ、フォークで切って食べた。
一口、口にするとその、とても濃いチョコレートの味が僕の口の中で融けた。
「おいしい。」
「ふふ。つよし、その笑顔が一番だわ。大好きよ。」
「僕もだよ、お母さん。」

もう一口分、フォークで切ると、中からチョコレートのソースが出てきた。
僕のびっくりした顔を見た母は、
「少し冷ましてね」と嬉しそうに言った。

僕は紅茶を飲んでから、ゆっくり口にした。
それはまだ少し熱いくらいだったが、ほろ苦いコクのあるソースだった。
「とってもおいしい。お母さん、おいしいよ。」
「今日はバレンタインデーだから。ちょっと頑張っちゃった。」
と母も嬉しそうに僕の入れた紅茶を飲んでいた。

僕は、もう一度、一口分を掬うと、
「お母さん、はい、どうぞ。」
「優しいのね。ありがとう。つよしは、お母さんの大切な天使よ。」
と微笑む母は、僕にとっては誰よりも美しい人、だった。

それは僕に合わせたサイズで、本当に小さいものだったのだが、そのほろ苦い甘みと、僕の入れた紅茶が甘さを和らげて、良く合っていた。母の選択するお菓子とお茶は、いつも見事に合っていた。だから、僕でもあっという間に食べてしまった。それがなんだかとてももったいなかったような、気がした。あの後、もう二度と、母のバレンタインデーを味わうことは無かったのだから。




「薪さん、聞いてます?」
「あ、すまない。なんだ。」
「コーヒー入れましょうか?って聞いたんですよ。」
「って、おまえ、今、ここで食べるつもりなのか?」
「そうですよ。一休みですよ。」
「おまえひとりで食べろ。」
「まあいいじゃないですか。」
「……」

僕は、手元の箱を見た。
その箱は先ほど、岡部が僕に持ってきたものだった。
「青木から、薪さんとオレにって、金曜日にメール便で届いたんですよ。一応、チョコレートって書いてあったんで、室長室の暖房の来ないところには置いておいとったんですが。今日がバレンタインデーですからね、薪さんも出勤されてて丁度良かったですよ。
 これ、舞ちゃんが青木と一緒に作ったらしいですよ。」

箱は、岡部と一緒に開けた、というより開けさせられた。岡部は興奮していた。

箱の中には、ペロペロキャンディのような棒の付いたクマの顔のチョコレートと、トリュフと、小さなチョコのカップケーキが入っていた。

「5歳でコレってすごいですね。青木も父親やってるんですね。」
「岡部、やけに嬉しそうだな。」
「そりゃぁ、嬉しいですよ。手作りチョコなんて、もう何年ぶりだか。」

岡部の箱の横に置いてあったカードを見ると、
『やっちゃんへ
 いつかぜったいに、あそびにきてください。
まっています。
  -まいー』

「ところで、薪さんのには何て書いてあったんです?
青木が舞ちゃんが何て書いたのか見せてくれないからって、心配してましたよ。」
「ああ、岡部と一緒だ。やっちゃんじゃなくて、まきさん、だったけどな。」
「そうですか。じゃあ、いつか舞ちゃんにお礼もって、遊びに行かないとですね。」
「おまえが僕の分まで遊んでやれ。」
「ぜひ、一緒に行きましょうよ。」


それらは少し歪(いびつ)で、完璧ではなかった。カップケーキの中央には少し固くなったチョコレートが、入っていた。
けれど、やはり、甘く、ほろ苦く、優しい味がした。


『まきさんへ
 まいもこうちゃんも、まきさんのことがだいすきです。
はやく、こうちゃんのところへきてください。
  -まいー』



タグ : 秘密 創作

23:46  |  二次創作(オリジナル)  |  CM(12)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

Re: 舞ちゃん、するどい

しづさん

> 「青木、いったい僕のことを家族になんて話してるんだろう(滝汗)」という心中を隠して、岡部さんの手前、必死で平静を装う薪さんを想像してしまいましたww

薪さんはそうです、内心はあれこれ動揺。ぜひ、家に帰った後も知らんぷりせず、悩んでいただきたい!
ほんと、青木くんはどんなふうに第九メンズのこと舞ちゃんに話しているのかしら??
だって、「やっちゃん」ですよ(笑)

> でも現実に薪さんが来たら、そのあまりの美しさに舞ちゃんが虜になってしまい、こうちゃんパパと仁義なき女の戦いが始まればいい。(え)

仁義なき女の戦い(≧ω≦。)
薪さんの取り合いバトル。そして舞ちゃんに優しく、青木くんにドSな薪さん。
やっぱり、美しさは罪!
ヤマネ | 2016年02月20日(土) 18:42 | URL | コメント編集

舞ちゃん、するどい

最後の手紙がパンチ利いてますね☆ 全部ひらがなななのに、なんて切れ味の良さ!

「青木、いったい僕のことを家族になんて話してるんだろう(滝汗)」という心中を隠して、岡部さんの手前、必死で平静を装う薪さんを想像してしまいましたww

女の子って、小さくても鋭いんですよね。特にこういうことは、なんとなく分かっちゃうの。きっと、こうちゃんパパが大好きで、パパの喜ぶ顔が見たいんだろうな、って微笑ましくなりました。

でも現実に薪さんが来たら、そのあまりの美しさに舞ちゃんが虜になってしまい、こうちゃんパパと仁義なき女の戦いが始まればいい。(え)
しづ | 2016年02月20日(土) 09:51 | URL | コメント編集

Re: かわゆす♪

たきぎさん


> なんというセレブ感漂う薪家、さすが名家! お母さんの大切な天使……チビ薪さんにキュン。ランドセル背負っていたのも「まきつよし8歳です」も可愛かったですが、もっと小さい頃は本当に天使のようだったんでしょうね~。

3歳くらいの薪さんも見てみたい。きっともっとエンジェル。瞳がキラッキラッ。そしてママに毎日、chu❤とかしていたらもうたまらんです。男の子、かわいいですよー。


> やっちゃんと薪さんに差をつける舞ちゃん、グッジョブ! 青木くんにも見せてないってとこにウケました。大きくなったら出来る女になるに違いない(笑)。

このくらいから女の子はおしゃまさんなので、手紙を見せてくれなかったりします(ノД`)
なので、母親は心配なんですけれど、青木くんもきっとそうだろうと。
青木くんは岡部さんのこと話していて、舞ちゃんが「やっちゃん」って呼ぶくらいだからどんな話をしていたんだか(笑)
薪さんのことはべた褒めで、ちょっと嬉し恥ずかしげに話してたりして、舞ちゃんにもなんとなく「こうちゃんのいいひと」みたいなのがわかっていると……(←ついに舞ちゃんの思考まで妄想するようになった、オイ)
ヤマネ | 2016年02月19日(金) 22:28 | URL | コメント編集

かわゆす♪

なんというセレブ感漂う薪家、さすが名家! お母さんの大切な天使……チビ薪さんにキュン。ランドセル背負っていたのも「まきつよし8歳です」も可愛かったですが、もっと小さい頃は本当に天使のようだったんでしょうね~。

やっちゃんと薪さんに差をつける舞ちゃん、グッジョブ! 青木くんにも見せてないってとこにウケました。大きくなったら出来る女になるに違いない(笑)。

たきぎ | 2016年02月19日(金) 20:36 | URL | コメント編集

Re: 素敵なバレンタイン〜。。。

eriemamaさん

>琴海さんてほんと出てくるシーン少なくてイメージが限定されてたんですが、

捏造しました。すいません(汗)
ジェネシスの自宅パーティの(特にマスターの回想)、イメージくらいしかなかったですものね。優しそうで、薪さんを心から大切に可愛がっているように感じました。
そう、子供なので紅茶。あの親子なら似合いそうです。

>今でも薪さん、幸福だった頃を思い出すことはあるんでしょうかね?きっと薪パパについてはしょっちゅう思い出してきたとは思うのですけど(ファザコン決定^^;)

今の方が、余裕もあって(病んでないから)、幸せだった子供時代を思うこともあるんじゃないでしょうか。今の連載でも自分は愛されていたと思い出して欲しいです。薪さんのファザコンは確定なので(←いいんかい?)、何かと(鈴木王子とか青木くんとか←え?)思い出しているのでは……

ほんと、まどろっこしい二人(≧∇≦)
コレでは舞ちゃんもお嫁に行けません(←まだ、行かないし)
はやく二人で舞ちゃんの両親になればいいんです!さあ、今の舞ちゃんが小さいときがチャンスです、薪さん(///∇///)←大きなお世話……
ヤマネ | 2016年02月15日(月) 02:30 | URL | コメント編集

Re: ほんとに

にゃんたろうさん

あんなカワイイ薪さんなら、誰でも良いお母さんになりたい!って思う(笑)
可愛がられて育ったのだろうし、良いお母さんだった気がします。優しそう。

>私もはやく舞ちゃんと薪さんがあっているところ、みてみたいなあ。

見たい!!
本物の方がキレイと、可視光線の由香里さん並に頬を染めそうな、舞ちゃん。青木くんに洗脳されて薪さんが大好きに育ってるハズなので、めっちゃなつきます。

>>もう、誰でもいいや、青薪くっつけあげてー(≧ω≦*)
>これに吹きました………

はは(笑)
切実‼
岡部さん、て・が・み~どうなったの?ということで、次は舞ちゃんにお願い……
ヤマネ | 2016年02月15日(月) 01:51 | URL | コメント編集

Re: フォンダンショコラ

けいさん

>フォンダンショコラと紅茶合う!
>無性に食べたくなりました。

美味しいですよね!コーヒーもいいですが、子供の薪さんと上品な琴美さんには紅茶かなぁと、思いました。ぜひ、アールグレイのストレートで♪ヽ(´▽`)/

薪さんは自分のことは罪な存在と思うかもしれませんが、両親のことは大切に思っていて、時々でも自分が愛されて育ったことを思い出して貰えたらいいなと思います。

>岡部さんと舞ちゃんは二人にとってのキーマンかも、ですね。

もう、なってください、お願いします!(強調)
ヤマネ | 2016年02月15日(月) 01:31 | URL | コメント編集

素敵なバレンタイン〜。。。

琴海さんてほんと出てくるシーン少なくてイメージが限定されてたんですが、うんうん、きっとこんな感じだったと思う〜(; ∇ ;)と思いつつ読ませていただきました。子供の頃の薪さんに身近だったのは、お紅茶、アールグレイのイメージ(笑)ジェネシスでは薪パパと琴海さんの回想が出てきましたが、今でも薪さん、幸福だった頃を思い出すことはあるんでしょうかね?きっと薪パパについてはしょっちゅう思い出してきたとは思うのですけど(ファザコン決定^^;)

舞ちゃんにはやっぱ、こういう役どころを期待してしまいますね(笑)それもこれもこうちゃんとまきさんがいつまでもまどろっこしすぎるからだヨ!wいつまでもじもじしているんだ(←してないし)。
薪さん、ほんまに早く青木の胸に飛び込んで舞ちゃんも安心させたげて下さい(^^;;

eriemama | 2016年02月14日(日) 20:34 | URL | コメント編集

ほんとに

きっと琴海さんは薪さんにとってはそれこそ聖母のような存在というか、とってもいいお母さんだったんでしょうね〜!
そして子供のころの薪さんはめっちゃ天使でしたよねえ……。

私もはやく舞ちゃんと薪さんがあっているところ、みてみたいなあ。
こんなかわいいバレンタインデーを過ごしてほしい……

そして
>もう、誰でもいいや、青薪くっつけあげてー(≧ω≦*)
これに吹きました………
にゃんたろー | 2016年02月14日(日) 19:14 | URL | コメント編集

フォンダンショコラ

ステキなお話ありがとうございます(≧▽≦)
フォンダンショコラと紅茶合う!
無性に食べたくなりました。そういう思い出を薪さんが大切に
していたらいいなあと切に願います。
そして舞ちゃんのメッセージもいい~😆岡部さんと舞ちゃんは
二人にとってのキーマンかも、ですね。
柏木 けい | 2016年02月14日(日) 17:23 | URL | コメント編集

Re: 可愛い~( ;∀;)

なみたろうさん

ジェネシス読んじゃうと、薪さんの母親へはいいイメージで残っちゃっているだろうから、他の女の人には厳しそう……確かに雪子さん無理っぽ……
母親にしたら男の子はカワイイ。多くの場合、幼くてばかちんだからなんだけど、ちび薪さんは天使だから(*´∇`*)両親も溺愛でしょうね。

やっちゃん、ロリ……。じゃなくても、舞ちゃん可愛かったものね。
公務員だから、モノ貰っちゃいけないだろうし。真面目だから余り貰わないだろうね。なので、貰えたら喜ぶと思う!残念ながら本当の目的は薪さんだったとしても!(気づかないだろう……)

>これは「相手の連れ子からのプロポーズ」とゆう、一番強力なヤツじゃないですか!?

そう、舞ちゃん何とかしてーって思う今日この頃(笑)やっちゃんは手紙どうしたのー!!
青木くんは岡部さんのこと、舞ちゃんに話しているくらいだから、薪さんのことも話していると思うんですよね。

そして薪さんの「ファザコン説」(笑)
薪さんがファザコンなのは間違いない。
そう、私も最近、薪パパは薪ママの全てを引き受けたんだから、薪さんも舞ちゃんのこと、青木くんと一緒に受け入れればいいのにって思っていて。青木くんには母親がいるけれど、それとは別で、やっぱり、薪さんにも舞ちゃんと向き合って欲しいなぁと。薪さんには覚悟がいるけれど。青木くんは舞ちゃんも薪さんも受け入れたいんだと思うから。

原作ではどうなるのかなぁ。舞ちゃんと会って欲しい。舞ちゃん、(///∇///)だと思うけど(笑)見てみたいです。
もう、誰でもいいや、青薪くっつけあげてー(≧ω≦*)
ヤマネ | 2016年02月14日(日) 15:21 | URL | コメント編集

可愛い~( ;∀;)

剛くんのお母さんはきっと若くて美しくて優しい姿のまま、理想の女性となって記憶に残っているんでしょうね…(雪子、最初から無理ゲーだわ)
そして当時の剛くんはほんとに天使ですね…( ;∀;)

てかやっちゃん、幼女のチョコレートにめっちゃ喜んでるけどめっちゃ差付けられてるよ?(笑)
薪さんもしらばっくれてきっとポーカーフェイスなんだろうけど、内心どうですか。
これは「相手の連れ子からのプロポーズ」とゆう、一番強力なヤツじゃないですか!?
うん、真面目な話、「舞ちゃんを我が子として愛情たっぷり育ててる青木はまるで薪パパでファザコン萌え」とか言ってないで(言ってない)、薪さん自身も薪パパみたいに血がつながらない子でも愛せるはずでしょう?薪パパはママに起きた悲劇を一緒に引き受けたんだゼ?こりゃ二人で舞ちゃん育てるしかないでしょう!(°▽°)

原作でも薪さんと舞ちゃんが絡むシーンあるといいなああ。会ったらきっとすぐになつくのに。そしてこのお話のように舞ちゃんが青薪をつなげてくれないかなぁ。
ヤマネさんありがとうございます( ´∀`)夢が見られました。
なみたろう | 2016年02月14日(日) 10:01 | URL | コメント編集

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